2026年3月3日(火)~3月6日(金)
岡 隆史 教授 ・ 沼澤 宙朗 助教
課題内容
本キャンプでは皆様に理論研究を体験してもらいます。原著論文を読み、課題を設定し、自分で問題を解いていきます。
昨年の課題の例
①フロッケエンジニアリングの応用: 周期的外力はKapitzaの倒立振り子のように直感に反する不思議な現象が起こします。このアイデアを未知の対象に応用します。
②機械学習・ニューラルネットワークの量子系への応用。
③為替取引(FX)の理論モデルのシミュレートと拡張。
これらに加え、今年も新しいテーマを考えます。
キーワード
理論研究、非平衡物理
研究室URL https://oka.issp.u-tokyo.ac.jp
参考図書
“Floquet Engineering of Quantum Materials”, https://arxiv.org/abs/1804.03212
“Neural network representation of quantum systems”, https://arxiv.org/abs/2403.11420
“Derivation of the Boltzmann equation for financial Brownian motion: Direct observation of the collective motion of high-frequency traders”, https://arxiv.org/abs/1703.06739
徳永 将史 教授 ・ 近藤 雅起 助教
課題内容
ミクロな世界における電子の運動は量子力学に従っています。低温と強磁場という極限実験環境を使うと、ミクロな世界を支配する量子力学の世界で起こる現象をマクロな物理量として観測できるようになります。本プログラムでは瞬間的に巨大な磁場を発生できるパルス・マグネットを使って実現する量子現象を、マクロな世界での超音波測定を通じて観測することに挑戦します。
東京大学物性研究所の国際超強磁場科学研究施設にある世界最強の磁場発生施設を見学し、その極限環境下における物性を極短時間で評価する手法を学びます。その後実習として圧電素子を使った超音波の伝播を測定することで、固体中の音速が温度や磁場でどのように変わるかを調べます。その手法を使ってある金属の強磁場下での音速測定を行い、そこで現れる量子現象について研究します。
キーワード
強磁場、超音波、量子現象
井手上 敏也 准教授 ・ 田中 未羽子 助教
課題内容
原子層物質とは層状物質を剥離して得られる原子数個分の厚さの結晶です。2005年にガイム、ノボセロフ両博士が粘着テープを用いて黒鉛から原子層物質であるグラフェンを得たことを発端として様々な原子層物質が開拓されてきました。本課題では、実際にいくつかの層状物質を劈開して数原子層の厚さの原子層物質を得て、その量子物性を測定し理解することで、2次元物質科学研究の一端を体験します。
キーワード
グラフェン、2次元物質、顕微光学測定
林 久美子 教授
課題内容
ヒトの体を構成する最小単位である細胞の中では、多種多様なタンパク質がダイナミックに動くことで機能を果たしていることは、あまり知られていません。栄養素のイメージが強いタンパク質ですが、細胞内で働く分子機械としての物理性質を学びます。本課題では、特に物質輸送に関連するタンパク質(キネシン)の速度を計測し、運動について考察する生物物理研究を行います。生物も物理の対象として考えてみませんか?
キーワード
生物物理、モータータンパク質、蛍光イメージング
研究室URL https://www.issp.u-tokyo.ac.jp/maincontents/organization/labs/hayashi_group.html
参考図書
「1分子ナノバイオ計測」(化学フロンティア)野地博行編, 化学同人, 2014.
「1分子生物学」(DOJIN BIOSCIENCE SERIES)原田慶恵, 石渡信一編, 化学同人, 2014.
小林 洋平 教授 ・ 中川 耕太郎 助教
課題内容
超短パルスレーザーは一瞬の動きをとらえることができ、科学研究のみならず様々な工学、産業にとって不可欠なツールです。本課題では、あなたの手で実際にファイバーレーザーを組んでいただきます。まずはレーザー発振、目指すはフェムト秒(1フェムト秒は1000兆分の1秒)領域の超短パルス発生です。実物の作製と仕組みの理解を通して、光科学とレーザー工学の物理を一緒に体感しましょう。
キーワード
ファイバーレーザー、フェムト秒、光周波数コム