物性研究所

物性コース

2024年2月19日(月)~2月22日(木)

1. ナノスケールの薄膜材料を作ろう / Let’s make nanoscale thin-film materials (文科可)

Lippmaa Mikk 教授 

課題内容

メモリ、マイクロプロセッサ、トランジスタなどの最新の電子機器はすべて、薄膜素材で作られています。シリコンは電子機器で使用される最もよく知られている半導体ですが、新しい電子アプリケーションのためには炭化物、窒化物、酸化物などの新しい材料が必要です。サイエンスキャンプのプロジェクトでは、ナノスケール薄膜酸化物を実際に成長させ、原子力顕微鏡と導電率測定により、さまざまな材料特性の測定を行います。

Modern electronic devices, such as memories, microprocessors, transistors, are all made of thin film materials. Silicon is the most well-known semiconductor used in electronics, but new materials, such as carbides, nitrides, and oxides, are needed for new kinds of electronic applications. In this project, we shall practice growing nanoscale thin film oxides and perform various materials property measurements by atomic force microscopy and conductivity measurements.

キーワード

薄膜、酸化物エレクトロニクス

研究室URL:  https://lippmaa.issp.u-tokyo.ac.jp/ 

参考図書

「トコトンやさしい薄膜の本」, 「トコトンやさしい真空技術の本」

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2.グラフェン(炭素原子の2次元結晶)の作製と量子伝導  (文科可)

長田 俊人 教授・田縁 俊光 助教

課題内容

グラフェンは黒鉛(グラファイト)結晶を極限まで薄くした炭素原子1個の厚さの2次元結晶です。2005年にガイム、ノボセロフ両博士は、粘着テープを用いて黒鉛から微小なグラフェンを剥ぎ取り、ナノ構造作製技術を用いてデバイスに加工し、グラフェン内の電子が「質量ゼロのディラック粒子」として振舞うことを示す半整数量子ホール効果を観測しました。このノーベル賞実験を追体験し、2次元物質科学に入門することを目標とします。

キーワード

グラフェン、2次元物質、量子ホール効果、ナノ構造加工技術、低温強磁場実験


    研究室URLhttp://osada.issp.u-tokyo.ac.jp/

参考図書

「フラーレン・ナノチューブ・グラフェンの科学 ―ナノカーボンの世界― 」(基本法則から読み解く物理学最前線 5),齊藤理一郎著,共立出版,2015. 

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3.量子スピンとエンタングルメント (文科可 ※但し、理科の学生と同等以上の数学・物理の予備知識要。

押川 正毅 教授・Han YAN 助教

課題内容

物質の磁性を主に司る電子スピンの量子状態は、2つの状態の重ね合わせによって表される。これは、量子計算機の構成要素となる「量子ビット」とみなすこともできる。複数のスピンが相互作用する量子スピン系の計算を通じて、「量子もつれ」(エンタングルメント)など量子情報理論でも重要な概念を体験的に学ぶ。

キーワード

量子スピン エンタングルメント 量子情報

参考図書

「数理科学」2018年6月号 「量子情報と物理学のフロンティア」 など 

研究室URL: https://oshikawa.issp.u-tokyo.ac.jp/lectures-j.html

.走査トンネル顕微鏡で探るナノの世界(文科可)

長谷川 幸雄 教授・土師 将裕 助教

課題内容

電子は通常、荷電した「粒子」と見なされますが、量子力学では、シュレディンガーの波動方程式によってその振る舞いが表されるように、「波」としての性質を示します。ここでは、原子を観察することができる顕微鏡として知られる走査トンネル顕微鏡(STM)を用いて、電子の波としての性質の一端を見てみましょう。具体的には、(1)原子構造の観察、(2)電子定在波の観察、(3)電子定在波の解析から電子の分散関係を描き、

電子の質量の抽出、などの課題に取り組みます。

キーワード

走査トンネル顕微鏡、電子定在波、表面電子状態、分散関係

研究室URL:http://hasegawa.issp.u-tokyo.ac.jp/

.フェムト秒パルスレーザーで一瞬の世界を探ってみよう!(文科可)

板谷 治郎 准教授栗原 貴之 助教

課題内容

フェムト秒というとても短い時間幅をもつ超短パルスレーザーを用いると、様々な非線形現象によって光の波長を自在に操ることができます。それを利用して、一瞬のパルス光の実際の時間幅を測り、さらに、もっと短いパルス光の発生実験を行いましょう。

キーワード

フェムト秒レーザー、非線形光学、光量子科学

研究室URL: https://itatani.issp.u-tokyo.ac.jp/ 

参考図書

Wikipedia 「超短パルス」「非線形光学」「チャープパルス増幅」