大気海洋研究所

大気と海洋コース

2024年2月27日(火)~3月1日(金)

1.海底からプレートテクトニクスを考える(文科可)

沖野 郷子 教授 

課題内容

地球に海があることは,惑星地球と生命の歴史に大きな影響を与えてきました.それでは,その広い海の下の深海底では何が起こっているのか?

海の深さ(水深)は,古い海底ほど深くなっています.これは,プレートが年代を経るにつれて冷却し沈降していくためですが,実際には年代から推定される水深より浅かったり深かったりする水深異常が見られます.サイエンスキャンプでは,まずGoogle Earthを使って世界の海底を堪能したあと,実際に水深異常を計算し,その理由を考えることで,プレートテクトニスをあらためて考えていきます.

キーワード 

海底地形 プレート 海底探査 海嶺 海山 海溝

研究室URL: http://ofgs.aori.u-tokyo.ac.jp/~okino/

参考図書 

        中西正男・沖野郷子「海洋底地球科学」 東大出版会 

是永淳 絵でわかるプレートテクトニクス 講談社

2.人工衛星データを用いて地球環境を調べてみよう(文科可)

今須 良一 教授             

課題内容

地球温暖化、大気汚染、森林破壊、砂漠化など、さまざまな地球環境問題の把握や、その解決の基礎となるデータの取得のために人工衛星が利用されています。本実習では、これらのデータを、地図投影機能がある Google Earth を利用してマッピングし、顕著な環境変化を視覚的に捉えることを目指します。連続した画像の組み合わせからそれらをアニメーションにする技術も習得します。解析対象は、大気、海洋、陸面、植生の他、農業関連情報なども解析可能です。

キーワード 

人工衛星、地球環境、画像解析、リモートセンシング

研究室URL: https://ccsr.aori.u-tokyo.ac.jp/~imasu/

3.海の中を覗いてみよう:海洋の微細構造と混合(文科可)

安田 一郎 教授

課題内容

    海の中には水温塩分が階段状に変化する「階段構造」という興味深い構造があることが知られています。この「階段構造」がどのように生じて、どんな 影響があるのか、実際の海の観測データの解析や実験を行い、いろいろ考えを巡らせてみましょう。

    研究室URL: http://lmr.aori.u-tokyo.ac.jp/feog/yasuda/index.html

http://omix.aori.u-tokyo.ac.jp/overview/greetings/

参考図書:

木村龍治著「流れの科学」第6章対流の世界

吉田次郎・長島秀樹「海洋中の二重拡散対流」ながれ,9,93-114, (1990)

一般に、海は、浅いところほど暖かく、深くなるにつれて冷たくなる、密度は下ほど大きくなる構造をしています。塩分が浅くなるほど高くなる、蒸発が盛んな亜熱帯海域では、水温塩分密度が階段状に変化する興味深い構造をしているところが見られます(図1)。一方、雨がよく降る海域や海氷が融解する高緯度海域の中には、塩分が下ほど高く、上に行くにつれて水温が低くなるが、密度的には安定している海域があり、北極の氷の下などで階段構造が見られることが知られています。本プログラムでは、この階段構造について、実際に観測された水温塩分密度データを分析して調べます。この階段構造は、海水が熱と塩分で伝わりやすさが違うために生じる、二重拡散対流という現象が関わっていると考えられています。亜熱帯海域や高緯度海域での水温塩分構造を念頭においた実験を行い、ソルトフィンガー(図2)や拡散型対流と呼ばれる二重拡散対流を再現する試みをし、どうしてこのような現象が生じるか、また、どのように階段構造が作られるのか、考えてみましょう。流体力学と呼ばれる液体や気体の運動や変化を記述する学問分野に触れることで、どのような条件でソルトフィンガーが生じるか、や階段構造との関わりについて、解析してみましょう。

図1:水温塩分の階段構造の例(Tait and Howe, 1971, Nature, 231, 178-179)
図2:ソルトフィンガー実験例

4.DNAから探るサンゴ礁生態系の謎(文科可)

新里 宙也 准教授         

課題内容

サンゴ礁は、地球上で最も生物多様性が豊かな環境の一つとして知られています。その礎となっているのが刺胞動物の仲間、造礁サンゴです。造礁サンゴの生態は、未だ多くの謎に包まれています。今回の実習では、サンゴの生態の謎の一つ、初夏に見られる一斉産卵を取り扱います。サンゴの養殖場での一斉産卵、どの種のサンゴが実際に産卵していたのか、DNA情報を用いて調べてみたいと思います。

5.海底の泥から読み解く過去の地球の姿(文科可)

黒田 潤一郎 准教授

課題内容 

海底堆積物は過去の地球環境を知るための貴重な記録媒体です。これまで,海底堆積物から太古の時代の様々な環境変動が明らかにされてきました。しかし,海底堆積物には多様な粒子が雑多に含まれており,「何を知りたいか」によって,適切な記録媒体を担う物質を見つけることが必要です。

このコースでは,海底で採取された柱状試料(コア)を用いて観察や分析を行い,この分野の研究のようすを実際に体験してもらいます.光学顕微鏡観察や電子顕微鏡を駆使し,ミクロの堆積物の世界に触れましょう。

キーワード

古環境,海底堆積物

研究室URL: http://ofgs.aori.u-tokyo.ac.jp/kuroda/kuroda_labo_HP/index.html